債務整理をする際に、携帯代や公共料金の滞納があった場合はどうなるのでしょうか?
電気・ガス・水道や、携帯電話などのインフラについては生活必需品なので、止められてしまうと非常に不便です。
今回は公共料金や携帯代の滞納は、債務整理によって減額することが可能なのかとあわせて、官報に事故情報が載るとどのようなデメリットがあるのかについて解説いたします。
債務整理で公共料金は対象にならない
債務整理には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類があります。
この中で公共料金の滞納は、自己破産以外対象外となります。
逆に自己破産は公共料金などの滞納も対象となります。
しかし、下水道料金だけは税金に準じる扱いになっているため、自己破産しても免責されません。
また自己破産で公共料金の債務整理をしてしまうと、同地域において同じサービスを受けられなくなる可能性があります。
例えば、滞納している公共料金を債務整理した場合、今後同じ会社と契約することができずに電気やガスなどを使用できなくなる可能性があります。
しかし、自己破産や個人再生手続きは、手続き裁判所でを行う非常に厳格な債務整理になります。
手続き前後に特定の借金だけを優先的に支払うと偏頗弁済と判断され、手続きが失敗してしまう恐れがあります。
そのため自己破産をする前に、公共料金の滞納分を支払いたい場合はまず弁護士に相談をしましょう。
また、銀行振込や支払い用紙によって滞納された公共料金は、クレジットカードやローンの支払いとは違い個人信用情報機関に事故情報が登録されることはありません。
しかし、公共料金をクレジットカードで支払っていた場合は、クレジットカード会社が支払いを立て替えたうえで債務者に請求しているため、支払いが滞ると事故情報として記録されてしまいます。
携帯代は債務整理が可能
携帯代の滞納については債務整理が可能です。
しかし、携帯代の滞納金を債務整理してしまうと、携帯電話の契約自体が強制解約になる可能性があるため注意が必要です。
個人再生や自己破産の場合、すべての借金や滞納金が対象となるため、携帯電話を使い続けたい場合は任意整理や特定調停をして、携帯料金の滞納分を整理から外しましょう。
また、携帯電話の分割料金もローンとしてみなされますので、債務整理の対象となります。
個人再生や自己破産をしても携帯本体を没収されることはありませんが、携帯会社から契約を解除される可能性があるため、そのような場合には他の携帯会社で新規契約する必要があります。
さらに債務整理後は個人信用情報機関に事故情報が載り、分割購入ができません。
新しく機種を購入する場合は一括購入のみとなります。
債務整理が必要になるほど公共料金を滞納するケースは少ない
公共料金を債務整理する場合、自己破産でなければそもそも利息が多く発生するものではないため、大幅な減額は見込めません。
公共料金の滞納といっても、基本的には3〜4ヶ月程の滞納で電気やガスは止まってしまうため、債務整理が必要なほどの額にはそうそうならないといえます。
それでも公共料金や携帯料金の滞納がある場合は、まず依頼している弁護士や司法書士に相談しましょう。
公共料金の滞納については、個人信用情報機関に事故情報が掲載されることはないと説明しましたが、債務整理をすると事故情報が載り、クレジットカードやローンを新たに契約できなくなります。
債務整理の中でも特に、個人再生と自己破産に関しては、個人信用情報機関の他に、官報にも事故情報が掲載されます。
官報とは?
官報とは、毎日国が発行する新聞のようなものです。
政府や省庁の法律や政令、条約についてや官庁の報告などの決定事項や会社法による決定事項が掲載されています。
その官報の中に自己破産や個人再生をした人の名前や住所が掲載されます。
自己破産の場合は、破産手続開始決定と免責許可決定したときに、
個人再生の場合は、再生手続開始決定と書面による決議に付する旨の決定・再生計画の認可決定をした際、官報に載ります。
官報に載る情報はとしては、以下の情報が掲載されます。
- 住所
- 氏名
- 自己破産が決定した日付
- 自己破産をすることに関する裁判所の決定
- 届出期間
官報は誰が見ているのか
官報は誰でも見ることができます。
しかし、情報量が多く、新聞感覚で読むようなものでもないことから一般の方が読む機会は少ないでしょう。
見ている可能性があるのは次の職業をしている人達です。
- 闇金業者
- 信用情報機関
- 区や市役所の税担当者
闇金業者は官報をチェックし、破産して新たな借金ができない人をあえて狙って金銭貸し付けの勧誘をするなどしているため、注意が必要です。
また、家族や会社が官報を見て個人再生や自己破産の事実を知られる可能性はほとんどないと考えられます。
破産情報の他には省令や規則、国家試験合格者の発表などが載っており、一般の方が見ても面白いものではありません。
無職の場合や通常の会社員であれば、官報に載ることにほとんどデメリットはありません。
そのため官報に載ってしまってもあまり気にする必要はありません。
官報の入手方法
官報を実際に見てみたい方は、書店や各都道府県に数カ所設置されている政府刊行物の売り場で購入するか、大きな図書館で閲覧することが可能です。
しかし図書館の場合、東京都内には大崎図書館と東京都立図書館の2箇所のみですので気軽に閲覧することはできません。
インターネットであれば直近30日分をPDF形式で閲覧できますので、興味がある方は確認してみると良いでしょう。
なぜ官報に載るのか?
こうした自己破産の情報は、信用情報が絶対の金融機関やクレジットカード会社にとっては重要な情報です。
そのため、国の公的な書類として記録し公開する必要があるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
インフラ関係の料金を滞納し続けているケースは多くありませんが、それでも滞納がある場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。
また債務整理により事故情報が官報に載ったからといって、被害を被るようなことは基本的にありません。
官報を見ている人も少ないため、会社や周りの人に個人再生や自己破産をしたことを知られてしまう心配もありません。
しかし、官報情報をもとにダイレクトメールを送り付けてきたり、悪徳金融業者が貸付の勧誘をしてくることもあるため注意しましょう。
絶対に官報に載りたくないという方は、弁護士や司法書士にご相談うえ、任意整理を検討してみてはいかがでしょうか。
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